釉色に見る器たち
海鼠(なまこ)釉
皆様から『こぶ志焼』という愛称で親しまれている、こぶ志窯の代名詞的な釉薬です。
戦後まもなく、岩見沢市上志文での創窯当時、種々な釉薬を試みたものの、原材料の入手の困難さ、設備不足、窯の構造の未熟さなど、さまざまの要因から、安定した釉調、釉色を得られず苦労を重ねました。その中でも、比較的安定した発色を得られたのがこの海鼠釉です。
海鼠釉は当時から評判がよく、現在のこぶ志窯の礎(いしずえ)を築くもととなりました。
色合いは、素地、原料、時代の流れとともに変化し、こぶ志窯の歴史そのものと言ってよいでしょう。